双方にとってベストでも、将来的にはベター
「でも、いざという時を考えると戦えないよりはいいですね。」
「ま、それはそうだけど」
「……うん。じゃあ、こうしましょう」
「なに?」
「ちーちゃんの通常の剣技では正直、心もとないので、あの踊る剣技をもっと磨きましょう。私も立ちあうことで、あの剣技を学びたいと思います」
「うーん……まぁ、現状はそれがベストか。互いにとっても」
「えっと、不服ですか?」
「いや、そういう訳じゃないけど、あくまで本筋ではない絡め手だからね。
磨いたところで、基礎が出来てないから、実力自体はいつまでたっても跳ねないと思うのよ」
言いたいことはわかる。
ちーちゃんの本来の実力には関係のない剣技だ。
とは言え、彼女の剣は私とは流派が違う以上、私から教えられることは少ない。
ちーちゃんと同じ剣を使う師がいるなら、話は変わるけど、
現状はこの方法がベストだというのは、二人の共通認識だ。
「ちーちゃんにとってはそうでしょうが、他に方法は……」
「ああ、いや、わかってるよ?でも、なんていうか、もどかしいんだ。
正道がわかっているのに、あえて違う道を進むのが……」
確かに、ちーちゃんにとっては今この段階ではベストな方法と思えても、
もっと長い目で見れば、それが覆る可能性はある。




