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直球に磨きをかけることで変化球が活きる
変幻自在の剣を捌き続けることで、徐々に慣れ、対応力が上がっていってるような気がした。
「ふむむむ…………駄目ね」
突如、ちーちゃんは後退し、体勢を立て直した。
「どう、したんですか?」
一瞬、つまったのは、息が上がる寸前まで追い詰められていたからだ。
「駄目よ。そっちを追い詰めるつもりだったけど、こっちも限界」
そう言う、ちーちゃんの膝は笑っていた。
「でも、驚きました。ちーちゃんがあんな剣捌きをするなんて」
「ああ……これはただの絡め手。苦肉の策よ」
「え?」
「流石に真っ当に戦ってもどうにもならないからね。初見殺しで攻めてみたんだけど……駄目ね」
……という事は、彼女本来の戦い方ではなく、引き出しの中の一つということか。
確かに、今までの二度と比較するとかけ離れすぎている。
そう考えると……
「全然駄目じゃないです。今の教わりたいくらいですよ」
「そう?それは構わないけど……こっちは、本来の実力が伴ってこその絡め手だと思ったわ」




