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チヒロの目覚め
出発して、馬車は予定通り、迂回ルートを走っていた。
「あのあと、そんなことがあったんですか!?」
セレナとシンシアさんは一足先に部屋で眠っていた。
だから、メメとの戦いや村の真実のことは、一切気付いていなかった。
「うん、まぁね。大変だったけど、結果的にはよかったんじゃないかな」
メメを呪縛に解放出来たこと、そして――
「ちーちゃんはどうなんです?色んなことを思い出したみたいですけど」
「まぁ、この剣の使いかたはね。他はさっぱり」
「剣の使いかた、ですか?」
「うん。”時空間接続”の方法とか、”圧縮された空間”の破壊法とか」
「え、ええ……?なんですか、それ」
「クリスちゃんが、”圧縮された空間”に囚われていた時に、助けた方法のことだよ」
「あ、ああ……なるほど」
「あとは、戦い方も思い出した」
「そうなんですか?」
確かに、思えばメメに斬りかかったりしていたし、それもおかしくはないだろう。
「うん……と言ってもどれだけ動けるかまでは未知数だけど」
「それなら、今晩手合わせしてみましょう」




