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in vitro
「みんな……いなくなったんです。なのに、私だけ……」
「あなたが不死者だから……」
「……私を……私達を改造した人は、改造に成功したのは私だけと言ってました」
「改造……それじゃあ」
「……言ってましたよね」
「え?」
「試験管の中、だって……」
「じゃあ、ここはやっぱり……」
「実験場だったんです。あの人の……」
「あの人……誰なんです?死霊使いは……?」
「素性まではわかりません。ただ……」
「ただ?」
「自分達は”世界を救うため”にやっている、と言ってました」
「!?」
英雄志望の異常者――救世主願望が招いた悲劇といったところだろうか……?
「……”世界を救うため”、その目的の為なら、どんな非道も犠牲も許される、そう思ってたのかな?」
「ちーちゃん?」
そう言えば、ちーちゃんは今回メメの使う技の対処法を知っていたり、過剰反応を示したりしていた。
もしかすれば、過去に関わりがあったのかも知れない。
『勇者』との関わり……もしかすれば、本当に世界を救おうという試み自体は真実だったかも知れない。
ただ、メメやこの村の人達にしたことを思えば、到底許せることではなかった。




