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その瞬間の攻防
野盗達の命を奪っていないのは、あくまで結果論だ。
手加減しても勝てる相手だから、正当な裁きを受けさせる為にそうしているだけで、
もし、手加減して勝てない相手ならば、そうはいかないし、
加減を失敗して殺してしまったとしても、それは相手が殺す気で来ているのなら仕方のないこと。
だから、今回のように加減の出来ない相手なら、仕留めれる時に仕留めることはおかしくない。
初めて人の命を奪うことになったとしても、その覚悟は、旅に出た時からしていたし、
エル兄さんにも、そういう甘さは注意され、意識はしていた。
なのに、
それなのに、私はメメを殺すことに違和感――正しくないとさえ感じていた。
『――目標セット』
メメは振り向きながら、こちらにまたエネルギーを放とうと手を構えた。
「――」
『発射!』
私は手で地面を叩き、スライドするように移動した。
閃光は私いた場所を通過するだけだった。
直線的な攻撃しか出来ない。
それがメメの攻撃の難点――
「――え?」
そして、無防備なメメの背中に、今、まさにちーちゃんが剣を振り下ろさんとしていた。




