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不殺に非ず
「――離脱!」
不死鳥を手放し、同時に最大出力で解放した。
再び、不死鳥とエネルギーのぶつかり合いになる。
しかし、そこに私はいない――!!
『!?』
私は離脱と同時に上方からメメの魔法陣を飛び越え、片手逆立のような状態でメメの後頭部を掴んでいた。
急所を捉えたのだ、このまま潰してしまえば、それで終わりだ。
「――」
躊躇は一瞬だった。
だが、確かに私は確かにその瞬間、メメを殺すことに違和感があった。
『!』
前方に回っていた、鋼の翼が後方に周り、私を叩きつけた。
私は堪らず、手を離し、その場を離れた。
吹き飛ぶように、落下するように離れる中、私の心は無心に近くなり、
反面何かを模索するかの如く、視線はメメをひたすら捉えていた。
「……」
殺されようとしているなら、殺すしかない。
それは最低限の覚悟だ。
私は今まで、人殺しこそしていないが、
生きるために野生動物を狩ったり、魚を捕らえたりと命を奪ってきた。
それはむしろ、当たり前のことだ。
原理はそれと同じ、命に危機が迫るから、殺す。
それは当たり前のことだ。




