閉じた世界
――
――――
――――――――――――――――
どこで、何を間違えた?
私の判断、選択全てが誤りだったとは思えない。
なのに、今、この状態はなんだなんだ?
私はこの場所を理解する。
圧縮した空間とは、無理矢理潰された場所ではなく、時間の流れさえも同時に圧縮されている。
この一瞬は永遠で、この永遠は一瞬――
だから、私は即死する訳じゃない。
永遠の時間の中で死んでいくということ。
逆に言えば、私は死なないということ。
しかし、同時に生きてもいるということ。
だけど、それを知ったところでどうしようもない。
この場所から、逃れる術を私は知らない
何かをしようとしても、時間の感覚がないせいで、始まりと終わりがない。
故に何も出来ない。
だから、何故、彼女は自分さえもこの世界に巻き込んだのか
わからない。
聞きたいと思っても、そのアクションを起せないのだ。
これは詰みだ。
死や敗北ですらない。
ただ、ひたすらに詰んでいる状況。
このまま、精神だけが摩耗していく――
そして、私の心が死んで、それで終わるのだろう。
それなら、それで構わない。
この状態のままいるくらいなら、死んだほうがマシだと思った。
なのに、左手の感覚がそれを許さない。
私とメメは手をつないでいた。
この閉じた世界で、始まりはない。
だから、この世界に来る前に私とメメは手を繋いでいた。
そんな記憶なんてないのに――




