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無剣
「それじゃあ……」
「外に誘い出して、迎えうちます。幸い、空間圧縮……向こうの種は割れました」
とは言え、空間圧縮という存在自体、私は知らなかった。
名称からして空間魔法のように思えるが、エレナ姉さん以外で、空間魔法を使える者は知らない。
居たとしても一握りで、まさか、メメがそんな魔法使いだと思えなかった。
……そんなことは今は気にすることじゃないか。
今は、どう迎えうつかを考えなくては。
「……剣を部屋に置いたままにしているのはよくなかったな」
「あ、じゃあ、この剣使う?」
ちーちゃんの持っていた剣を差し出しされる。
一瞬、受け取ろうと考えた。しかし――
「いえ、それはちーちゃんが持っていて下さい。私は剣がなくとも戦えますから」
いざという時、ちーちゃんの護身用に武器は持っていたほうがいい。
ろくに扱えないのは重々承知だけど、それでもないより、あったほうがいい。
「じゃあ、どうするの?」
「せっかくですし、エル兄さんに指導されたことを思い出して戦ってみます」
相手は不死者、それを考えると光魔法や火魔法が効果的なはずだ。




