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弾丸と閃光
一般の人間にとっては脅威でしかない銃火器も、私にとっては一武装でしかない。
迫りくる弾丸も人差し指と中指の二本の指で掴むことが出来る。
だから、今、目の前に迫る弾丸は脅威ではない。
――――そう、脅威ではない、はずだ。
「危ないっ、クリスちゃん!!」
「っ」
ちーちゃんの叫びに反応して、私は横っ飛びで避けた。
――弾丸は宿の壁にぶち当たった。
そして、それと同時に壁が消えた。
「あっ!?」
「ちっ、避けたか」
メメは悪態を吐きながら、再びこちらに銃口を向けた。
「『フラッシュ』!」
「うっ!?」
閃光魔法で、メメの視界を奪った。
「クリスちゃん!」
「わかってます!」
メメへの攻撃には移らず、壁が消えた場所から、ちーちゃんを担いで外に飛び出した。
私の知らない――得たいの知れない攻撃方法。
一旦、落ち着いて、対処法を考える時間が欲しかった。
「くっ、逃げますか。でも、こちらとしても都合がいいです。
……これ以上、宿を壊したくないですし」
メメはすぐに私達を追おうとせず、廊下を回って、玄関から外に出た。




