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彼女なりの事情
「事情があるのですよ、こちらにも」
「事情……そうですか」
そう言われると追及しづらくなる。
私は聞かないことにした。
「余り長い時間、起きとれんのです」
いや、話すんかい!
「そ、そうなんですか……」
「要は活動時間が限られとることどす」
「……はぁ、なるほど」
「じゃけん、店に管理に割く時間はないですたい。
他に従業員もおらんよってに」
「ツッコミ待ちですか?」
「そういう風にスカされるのが、一番恥ずかしいんですが」
「じゃあ、真面目な話の時にボケないで下さい」
「とにかく、そういう訳なので、無理なものは無理です」
「はぁ……でも、それなら、従業員を雇ってみては?」
「こんな宿に誰が雇われたいんですか?」
「それ、あなたが言うんですか!?」
「そもそも、雇ったところで、お給金を払う余裕はないですよ」
「……」
現状はそうでも、まともな宿になれば…………いや、そもそも場所も悪いのか。
「納得いただけましたか?」
「え、ええ、まぁ……」
「では、これで。トレイは昨日と同じく部屋の前に置いておいて下さい」




