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微動だにしない心
「私どものモットーは”安かろう悪かろう”でございます」
「それは開き直りって言うの!」
「悪ではないから、悪びれないのです」
「つまりは、ふてぶてしいってことじゃない!盗人猛々しいって言うんだよ!」
「対価に見合ったサービスなのです。盗人とはあんまりではありませんか?」
「うっ……」
どうして、ちーちゃんが言いくるめられてるの?
「いや、別に咎めたい訳ではないんですよ」
「はぁ……では、なんなのでしょう?」
「私達は確かに安価な価格で、泊まってるのだから、文句は言いません」
「はい」
「でも、あなたはどうなんですか?」
「はい?」
「宿屋である以上、この部屋は商売道具になるわけですよね?
管理を怠って損をするのはあなたなのでは?」
「なるほど、一理ありますね」
「でしょう?」
「逆に言えば、九十九理はこちらにあると言うことです」
「えっと……それどういう理屈です?」
「管理を怠ってはいません。単純に管理出来ないのです」
「え?」




