近くて遠い
「『アイス』『アイス』『アイス』『アイス』!
よし、あとは、『アース・フィールド』!」
話し合った通りに、魔法を展開したことで、とりあえず危険性は去った。
「……クリシュナさん」
シンシアさんが、地図を見ながら、難しい顔をしていた。
「どうしました?」
「いえ、とりあえずの脅威が去ったなら、今後のことを、と思いまして」
「今後のこと……橋ですか?」
「ええ、どうにか……なりますか?」
吊り橋のあった場所を見る。
対岸までおよそ、1km。
私単独なら飛び越えることも出来るが、全員で対岸に向かう方法がない。
「……私に出来ることはないですね。この距離では魔法で簡易的な橋を造ることもままなりません。
魔法の得意な姉に転送魔法を習っていたなら、方法はあったんですが……」
残念ながら、そんなものは習得していない。
そもそも、それを使えるのは世界でも指折り、
他のきょうだい達でもアル兄さん以外だと長姉のエレナ姉さんしかいない。
「そうですか……では、迂回ルートをとるしかなさそうですわ」
「迂回……どうなるんですか?」
「地図を見た限り……もう一度、さっきの村に戻るしかありませんわ」




