訪問
一週間が経った。
セレナの症状は回復し、すっかり完治したと言えるところまで来ていた。
そして、私は奴隷商人達のアジトだという建物の前まで来ていた。
「ほ、本当に入られるんですか?」
「勿論。憲兵達への通報も済ましたしね」
じきに、憲兵達によって奴隷商人達は捕まえられるだろう。
だけど、その前に話を済まさないといけない。
「セレナはついて来なくてもいいよ」
「い、いえ!クリスさんが行くのなら、お供します」
「……わかった」
私は蹴破るように扉を開けた。
「な、なんだ!?」
建物の中を見る。
一階はロビーとなっており、10人程のゴロツキがたむろしていた。
「あんたらが、奴隷商人ですね?」
自然と口調が荒くなっていた。
「なっ……なんだぁ?嬢ちゃんよ、いきなりご挨拶じゃねえか」
「証拠はあがってるんですよ。死にかけたこの子が山に捨てられたのをね」
「はぁ?なんだ、そのガキ?」
と、その時、セレナがゴロツキ達の中の一人を指差した。
「あ、あの人です!わたしを山に捨てたのは!」
「……どういうこった?なんで、お前が生きてる?」
「間違いではないみたいですね。大人しく、通してもらえませんか?」
「ちっ!なんだか、わからねぇが!相手はたかだがガキ二人だ!やっちまえ!」