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癒しの香り
声に気付いて扉の方を見ると、室内にいたはずなのに服が汚れている、シンシアさんがいた。
「なんなんですの!?人が大変な時に、なにしてるんですか!!」
「……ま、まぁ、落ち着いて下さい」
「これが落ち着いていられる訳ないですわ!なんで、世の中はこんなに不公平なんですか!」
随分と悲痛な叫びに聞こえた。
「そ、そうだ、シンシアさんも、セレナを抱っこしませんか?」
「……」
「……ええっ!?」
急に生贄に捧げられたセレナは驚いて、私を見た。
「いやぁ、セレナの髪っていい匂いして、癒されるんですよ。
花や草木のような澄んだ香りで、森林浴してるみたいな、気持ちになりますよ」
「そ、そうなんですか?」
「…………」
「うん。シンシアさんも試してみて下さいよ、落ち着きますよ?」
「………………んがーっ!そんな言葉に騙されませんわよーーっ!!」
――――10分後。
「ああ~~、セレーナさんはいい子ですわね」
「セレナいい子いい子」
「あの、流石にそういうのは……」
……ちなみに、その頃のちーちゃん。
「あの、床が抜けて下半身がハマるって、どういうこと!?」




