謎の距離感
翌日、朝から一日かけて、途中の村にたどり着いた。
そして、その間に私とセレナが、”チヒロさん”から”ちーちゃん”の呼称に変わるのは容易だった。
そんな中で、シンシアさんは、自分を貫いたのは流石だと思った。
「あそこが……なんでしたっけ?」
「いえ、地図にも詳しく載ってないのです」
「じゃあ、正式名称がわからないの?」
「ええ、村の人に聞いてみれば、わかるかも知れませんが」
「あの、ちーちゃんさん、そんなに乗り出すと危ないですよ」
「あっ、そうだね…………相変わらず、そのちーちゃんさんってむず痒いなぁ」
「まぁまぁ、ちーちゃん、そこはセレナの妥協点ですから」
「クリスちゃんもクリスちゃんで、ちーちゃん呼びになっても口調はそのまんまなんだよね」
「これはクセですから」
「なんども言うようだけど、それだとセレナちゃんはどうなのさ?」
「セレナは……なんというか、妹みたいなものですから」
「!?」
「あれ、供述が変わった?」
「供述って……年下の女の子って、妹みたいなものじゃないですか?」
「えー!?それはないよー!!」
「そうですわね……流石にそれは賛同しかねます」
「……」
そうなのか……年下の女の子はセレナが初めてだったから、距離感が違ったのかも知れない。
「で、でも、それなら、クリスさんのことお姉さまって、お呼びしますよ?」
「なんで、さま付け?」
「血の繋がらない子を妹扱い……如何わしい匂いがしますわ」
「そ、そんなんじゃありませんよ!ほら、セレナ、そこに止めて!」
「ごまかしたね」
「ごまかしましたわね」
「ごまかすんですか?」
「息ぴったり!?」




