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重さ
「えっ、左手が!?」
「うん、動かすことは出来るんだけど、力を入れることが全然出来ない」
そう言えば、チヒロさんは戦った時、左手で直接剣を受け止めたりしていた。
まさか、そのせいで――!?
――いや、そもそも、そのこと自体がおかしいのだから、左手そのものが何かあるのかも知れない。
ただ、私と戦ったせいという可能性も否めないのだけど。
「右手だけじゃ、こんな重いの扱えないよ」
「……そうなんですか?」
そうは言うけど、チヒロさんは何度も言うように片手で扱っていた。
「持ってみる?」
「あ、それじゃあ」
鞘ごと、チヒロさんの剣を持ってみた。
「あ……」
私の剣と同じくらいの重さだ。
父から授かった剣は頑丈な分、重量がある。
それを考えれば、初めて持った人間が片手で扱えないのは無理はない。
「流石に、クリスちゃんは片手で持てるんだね」
「それは、まぁ、そうですけど、確かに重めですね」
扱えない訳ではないけど、本来の片手剣の重量ではない。




