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九死に一生……………?
「とと……わっ!?」
剣の重みに引っ張られ、斬りかかるというよりは、振り下ろすような軌道。
見切りも何もなく、単純な直線軌道に私は合わせるように剣を受け止めた。
そして、ガツンという斬り合いというよりは、ぶつかり合う音が響いた。
「うぇっ……!?」
弾きかえした訳でもないのに、チヒロさんは反動で剣を頭の上で制御出来ていないようだった。
「危ない!」
私は剣を右手に預け、左手でチヒロさんの腕ごと剣を支えた。
「あ、ああ……死ぬかと思った」
「ごめんなさい、やめましょう」
「う、うん、こちらこそ、ごめんね」
…………
半ば死にかけて、興奮気味だったチヒロさんを落ち着かせるため、
馬車の車輪に背を預けて、草むらの上に座った。
「こういう言い方はよくないと思いますが、予想外でした」
「なにが?」
「いえ、元々は片手で剣を扱えていたんです。筋力がそうそう落ちるとは思ってなかったので、
技術的に制御が効かないことがあっても、重さに振り回されるとは思ってませんでした」
「うーん……それがね、左手が上手く力が入らないの」




