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持ち手
「こっちからは攻撃しませんから、それで斬りかかって下さい」
本来のチヒロさんの実力なら、それを捌くだけでも鍛錬になるはずだ。
「それでも、危ないよ!?こっちは大丈夫かも知れないけど、クリスちゃん怪我したらどうするの!?」
「実戦の練習になりますし、いざという時は回復魔法もあります」
「うう……そんなこと言われても……」
「そう言う割には、その剣、肌身離さず持ってるじゃないですか?」
「それは、なんだか、持ってないと不安で……」
「厭らしい言い方になりますけど、剣はアクセサリーじゃないですよ?」
「もう!わかったよ!!」
チヒロさんはぎこちなく、剣を抜いた。
「お願いします」
私は剣を構えた。
それに倣うように、チヒロさんも剣を構えたが、私と同じ両手持ちだった。
戦った時を思えば、彼女は本来、右手での片手持ちのはずだ。
とは言え、そのことを記憶のない彼女に指摘するのは酷な気がした。
「い、行くよ!」
「いつでも、どうぞ」
チヒロさんは、剣を振りかぶり、上から剣を振り下ろすように斬りかかってきた。




