打ち解けたあと
その後も三人は話し続け、陽が落ち、キャンプを張った頃には、
チヒロさんは、砕けた口調になっていた。
「それで、言ってやったんだ。犠牲フライはお手玉しようが、外野手が触れた時点でスタートだって」
「ああ、知ってると知らないとでは大違いですわね」
一体、なんの話をしてるのだろう?
「あ、そう言えば、チヒロさんは干し魚は大丈夫でしたっけ?」
「……」
チヒロさんはじっ、と私の顔を見つめた。
「もしかして、苦手です――」
「お堅いよ!」
「えっ?」
「せっかく打ち解けたんだから、クリスちゃんも友達みたいに喋ってよ」
この人、こんな感じの人だったんだ……
「そんなこと言われましても、敬語は私のクセみたいなものですし」
「えー?でも、セレナちゃんには使ってないじゃない!」
「それは……まぁ、セレナは年下ですから」
「年功序列みたいなの?そんなに意識することかな?」
「そんなんじゃないですよ。ほら、一番年上のシンシアさんの方がお堅い喋り方してませんか?」
「いやぁ、アタシのはキャラ付けだし」
なんてこと言うんだ、この人は……
「あの、シアさんに切り替わると話がややこしくなるじゃないですか」
「あはは、ごめんごめん」
面白がってるな、この人……




