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シンシアの本領 後編
「それで、移動手段の方はどうするんですか?」
「はい、これに関しては金額次第、ということになるとは思うんですが、
一般的な渡航船ではなく、貿易船に交渉して乗せてもらおうと思います。
貿易船なら、金さえ払えば、スペースは確保出来ますから」
「そのスペースって、馬たちは生きることが出来るんですか?」
そう問いかけたのはセレナだった。
「……交渉次第、です」
「それって……」
「馬が生活出来る環境が確保出来なかった場合、一度売り払って、
『パラガム』で再度馬を購入することを検討しますわ。
今の馬に愛着があるのはわかりますが、無理な生活環境で死なせてしまうほうが残酷ですので」
「そう……ですか」
「ま、まぁ、私自身にもあの子達には愛着がありますわ。
出来る限り善処して、連れていこうと思います」
「!……お願いします」
「ええ、先程申した通り、腕の見せ所ですもの。全力を尽くしますわ」
シンシアさんは自分の胸を強く叩いた。
これに関しては、彼女の力量と時の運だ。
シンシアさんの頑張りを信用するしかないのだろう。




