シンシアの本領 中編
「じゃあ、どうするんです?」
「クリシュナさんは、貿易はご存知ですか?」
「貿易……確か、他国間でのモノの売り買いですよね」
「そうですわ。今回は全体的にこれを利用しようと思います」
「と、言いますと?」
「その前にまず、前提の知識として、貿易は基本的に儲けが出るから行われます。
何故かというと、国によって、手に入りやすいものと手に入りにくいもの、
作っているものと欲しいものがあり、その需要と供給がマッチすれば、
自国よりも高く売りつけられるからこそ、手間暇と輸送費をかけてまで他国と商売をします。
ついでに言うと、”この世界”では関税の仕組みが出来ていないので儲けをまるまる使えますね」
「かんぜい……?」
「いえ、失礼。異世界との違いなど、今は些細なことでしたわ」
「はぁ」
「さて、あとはこの前提を考えると、所持金の大半を『パラガム』で需要のある物品に変えてしまい、『パラガム』で売れば、為替を利用せずとも、貨幣の問題をクリア出来るだけでなく、儲けまで見込めますわ」
「妙案じゃないですか」
「ええ、ただ、あくまで、机上の空論なので、
細かい問題はあるのですが……その辺りは私の腕の見せ所ですね」




