それからの先
それから……
チヒロさんが状況を飲み込むには時間が必要だった。
しかし、飲み込めたところで、彼女には今後のアテなどなかった。
故に案の定というべきか、とりあえずではあるが、私達の旅に同行することにした。
エル兄さんに任せることも出来たけど、
私自身に、症状を悪化させたのではないか、という負い目があったし、
元々、同行者のいる私が受け入れるほうが、単独であるエル兄さんよりも容易さがあった。
……
そして、街を出る朝――
「次の目的地はどこなんだ?」
そんなことをエル兄さんに聞かれた。
「また南下しようと思います。その中で一番近い街は……」
「アルの兄貴を探すなら、他国に行ったほうがいいぞ」
「……え」
「この国の情報は王都に集って、ランの兄貴の耳に入るだろう。
だが、何年経っても音沙汰ないってのは、この国にいる可能性は低いだろう」
「……あ」
確かに考えが足りなかったかも知れない。
「お前……多分、一人で探そうとしてるだろ。他のきょうだい達も手を回していることを忘れるな」
「そ、そうですね……」
思えば、私はしらみつぶしに街から街に、と回る気でいた。
その方法でも見つかるかも知れないが、果てしなく非効率的だ。
余程運がよくないと、何年、何十年もかかるだろう。




