ロスト
「高2ね、あとは?」
「あと……家族構成は両親二人に兄弟はいない一人っ子です」
「うん、それから?」
「それから……あと、なにがあったかな……」
「剣はどこで覚えたの?」
「剣?いえ、特に嗜んではいませんが」
「その剣は貴女のものよ?」
シンシアさんは枕元に置いておいた、チヒロさんの剣を指さした。
「え…………いえ、知りません」
「えっ!?」
驚きの余り声が出た。
「……ねぇ、貴女ここがどこかわからないって言ったけど、どこまで覚えてるの?」
「なにがですか?」
「例えば、クリシュナさんと戦ったこととか」
「戦う?あはは、そんな、まさか!」
「貴女……異世界転移したっていう自覚はある?」
「い、異世界!?」
「…………エルグラドさん」
「なんだろうか」
「今の話を聞いて、どう思います?」
「そうだな、前に話していたことが、
全くの見当はずれということじゃないなら…………記憶喪失だろう」
「え?」
「そうでしょうね。恐らく、この世界に来てからの記憶がごっそり抜け落ちているんだと思います」
「え、え?」
「チヒロさん、貴女にとっては、いきなりで飲み込めないかも知れないけど……恐らく、事実よ」
「ええええええええええっ!?」




