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エルグラドの指導 前編
翌日――
少女にかかっていた暗示が解け、催眠も解ける頃になり、私達は部屋にいた。
その中でエル兄さんに軽く、指導してもらっていた。
「いいか?お前の戦い方は上半身に比重を置き過ぎなんだ。もっと蹴りを有効活用しろ」
「確かに……ですが、足を取られるとそれだけで致命的なのでは?」
「それはそうだが、気功を纏った蹴りは早々対処出来ん。そして――構えてみろ」
「は、はい」
「ソード」
エル兄さんは『泥棒猫』を展開し、互いに剣で対峙する形になった。
「防いでみろ」
エル兄さんはローキックを放った。
「う……!?」
すぐさま後退したが、その先を読まれ、間合いの内側に詰められた。
「わかるか?剣などの近接武器において、ローキックは牽制に使える。
距離の見極めが重要だがな。あと、槍などのリーチが長い武器にはまず通じないが」
「わかります……牽制だけじゃなく、上手く決まれば相手の体勢も崩せますね」
「そうだ。このことからも分かると思うが、お前は単独での戦闘パターンに拘りすぎだ」




