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材料
「それじゃあ、イワノフさん。欲しいものですが――」
「あ、ああ、なんだい?」
「りんご、ぶどう、桃……あと、サイチェルネを1個づつ下さい」
「サイチェルネ……珍しいものを知ってるんだね。あるけど」
サイチェルネ、それは砂漠でしか咲かない植物がつける実で、
薄味ではあるが、栄養価が高く、特に砂漠の民達の活力の源となっている。
「よかった。イワノフさんのところなら、あるとは思ってましたけど」
「近くに健康志向のお得意さんが居てね。仕入れてるんだ。とは言え、珍しいものだから割高だよ?」
「幾らになります?」
「他のと合わせて3000ウェンだ。端数は勉強しておくよ」
「ありがとうございます。それで構いません」
手持ちを考えると少々厳しいが、お金はまた稼げばいい。
人命には代えられない。
「じゃあ、ほら、投げるよ」
「はい!」
果物を全て受け取ると、荷物を下した。
「なにをするんだい?」
「ここで、薬を作ります」
「へ、薬?」