街へ降りる方法
私は山を巡り、薬草になる野草を収拾した。
「後は街で必要なものを……」
しかし、少女は疫病にかかっている。
完治するまでは街に連れていかない方がいい。
でも、このまま、山に置き去りにするのはそれはそれでよくない。
野生動物に襲われる危険性があるし、傍にいないと容態が急変した時、対処できない。
「……よし!」
……
私は少女を背負って、イワノフさんの果物屋に来ていた。
「イワノフさーん!」
「お嬢ちゃんか、久しぶり」
「あ、近づかないでください!」
「えっ」
「お金をここに置いておくので、言ったものを投げてください!」
「な、なんで、そんな真似を?」
「この子、シャフイン病にかかってるんです。魔法で空気の層を作り続けているので、空気感染はしないと思いますが、近づくとうつるかも知れません」
「……そ、そうか。ところで、お嬢ちゃん、剣士だよな?どんな魔力してるんだ?」
「これくらい普通ですよ?」
他のきょうだい達なら、近づいても感染しないよう、完全遮断できるだろう。
正直、私の力量不足だ。
「そもそも、お嬢ちゃんは大丈夫なのか?」
「何がです?」
「疫病なんだろ、その子」
「私は”免疫力”を持っているので大丈夫です」
「えっ……えっ?」
「疫病に耐性があるってことです」
「そ、そうか……まぁ、お嬢ちゃんなら、そうかもな」
イワノフさんは何故か遠い目をしていた。