未熟さの中身
「どうして、そんなことが言えるんですの!?」
シンシアさんはなおも食い下がった。
「今回のこともそうだ。下手にクリスが首を突っ込んだばかりに、この子は倒れた」
「……」
「そんなの、クリシュナさんが居なかったとしても、どうなったかなんて、わかりませんわ!」
何も言えない私に変わって、シンシアさんが強く訴えかけた。
「それに今回だけですわ!私はクリシュナさんに……クリシュナさんがいたから、救われたんです!」
エル兄さんは首を振った。
「そちらの事情は知らない。だが、クリスは判断を間違えた。その点において、未熟だと言えるだろう」
「……間違えたんじゃないんです」
そう、呟くように言ったのはセレナだった。
「……」
「クリスさんは、正しい判断が出来ていました。でも、あの占いで……あの老婆に誘導されたんです」
「そ、そうですわ!クリシュナさんは元々はこの件には関わらないと言ってましたわ!」
「……そうか。それなら、尚更だ」
「ど、どうしてですか!?」
「単なる未熟ならば、成熟による克服も可能だろう。
だが、クリス。
お前は他者の悪意に鈍感なんだ。だから、騙され、誘導された。
お人よしだと言ってもいい。また、騙されるぞ、お前」




