応急処置
「なにを言ってるの!?このままだと死んじゃうよ!?」
「……もう、助かりません」
「いいえ!助ける!!」
ありったけの気功を込めて、少女の身体へ押し込んだ。
「うっ……あぐっ!!」
「少し苦しいけど我慢して!」
「ぐっ!……かふっ!!」
少女の口に血が堪る。
「苦しいなら吐きだして!悪い血だから!」
「あなたにも……うつる……」
「今は自分の心配だけをして!」
少女は横を向いて、血を吐き捨てた。
「もう……少しで……!!」
最後の一押しを押し込むと少女の身体は跳ねた。
「うっ!……はぁ……はぁ……」
「これで、応急処置としては充分なはず……気分はどう?」
「……ありがとうございます。でも……この病気は治らないんです……」
「そうかな?みたところ”シャフイン病”だね。
それなら、治療薬が確立されてるからちゃんとした治療を受ければ治るよ」
「!?……お医者様なんですか?」
「あ、いや……ちょっと薬学をかじっててね」
「だとしても……無理です。わたしは身寄りのない元奴隷なんです。治療費なんて払えません」
「……そうなんだ」
私は考えを巡らせた。
そして、結論を出した。
「じゃあ、私がなんとかするよ」
この少女を救うことは可能だと。