何故、少女は戦ったのか? 後編
「『ミバロウカ』は、狼を模倣した魔法生命体――使い魔を生み出す魔法だというのは見たはずだ」
「はい」
「だが、その本質は召喚魔法でもあるが――幻惑魔法だ」
「幻惑……!?」
「それで、わかっただろう?この子は正気ではなかった」
「……最初に会った時から……だから、私も敵だと思って……?」
「……『ミバロウカ』は、”終末の獣”を模した魔法だ。
牙には幻覚作用があり、あの”狼”や周りの生物を”終末の獣”だと思わせる」
「”終末の獣”!?それって、勇者の伝説にある……!?」
「ああ、世界を喰らい尽くすという、魔物と言うよりは”災害”に近い存在だ」
「……」
「術者の魔力が尽きない限り、無尽蔵に湧き出る”狼”を相手に戦い続けてたんだろう」
「この子はずっと戦い続けていた……!?」
「『ミバロウカ』自体は夜にしか使えない魔法だ。
だが、その効果は一日続く」
「最初に会った時、昼だったのに、襲ってきたのはそれが原因なんですね……」
と、口にして、何か違和感があった。
「『ミバロウカ』への一番の対処は、”狼”を相手することではなく、術者を直接倒すことだ」
「じゃあ、エル兄さんは、その術者を見つけだしたんですね」
「ああ。憲兵達に引き渡した」
「術者は……どこにいたんですか?」
「……お前達はオレより、早くこの街に着いたんだよな?」
「え、あ、はい。昨日着きました」
「街を見回ったか?その中でおかしなものを見つけなかったのか?」
「え……?
あっ……!」




