超常現象
「しっ、シンシアさんっ!!居ますか!?」
少し待ったが返事はなかった。
今、私の旅の仲間で、応答が出来るのはシンシアさんと蝶だけだ。
蝶が返事出来る状態なら、性格的に聞かなくとも応えるだろう。
つまり、私の声が届く範囲にはいないか、或いは……
「っ……!」
私は不吉な想像に首を降った。
そもそも、こんな街の真ん中でそんな事が起こっていいはずがない。
そうだと思いながらも、私は居ても立っても居られず、近くにあった扉から外に飛び出した。
出た先は長い廊下、窓から見えた風景に見覚えがあった。
ここは来た時に見た旧校舎の中だった。
「……なんで、こんなところに」
元いた本来の校舎と、旧校舎は繋がっていない。
用もなければ、こんなところに来るはずがないのだ。
「……とにかく、現状の把握をしないと」
元の校舎に戻ってみよう。
馬車がそのままなら、ちーちゃんやセレナはそこにいるかも知れない。
手っ取り早く外に出ようと窓から出ようとした。
「……?!」
窓が動かない。
単純に鍵がかかっているとか、古くて滑らないとかそう言うのではない。
まるで、壁。
それは窓のように見える壁で、そもそも開けるという機能がないようだった。




