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ホラー?
思えば、この時私は、人の想いを軽視していたのかも知れない。
強く想い、それは神の意思だと感じてしまう想いを……
…………
「えっ?」
私は暗闇の中で目を覚ました。
体感だが、時刻は夜三時を回っていただろう。
そして、その違和感に気づく。
私は……眠っていた?
いや、起きていたのだろうか?
どうにもこうにも前後の記憶がない。
馬鹿な……記憶を失う程お酒を飲んだとか、そう言うことでもなく、私の意識は今この時に"飛んだ"ように感じていた。
そう、マリィさんの提案を断ったあの瞬間から……
「……まさか?」
"それ"が原因だと?
私は右目と額を抑えて考えようとしたが、現状の把握が優先事項だと思いなおし、周囲を確認した。
どこかの部屋。
見覚えはない。
木造の家屋で明かりが一切なかった。
私は少し考えて火の魔法で松明代わりにしようとした。
少し、空気が埃っぽく感じたが、この程度なら粉塵爆発などは心配ないだろう。
「『ファイア』」
手に火を灯して気づいた。
私はこの場に一人だった。




