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マリィ=ベル
マリィさんは構わず続けた。
「妹様は今のお姉様をどう思われていますか?」
「どう……とは?」
「以前のようなお姉様に戻ってほしいとは考えていませんか?」
「それはありません」
意外、といわんばかりにマリィさんは目を丸くした。
「そうですか……それは何故です?」
「……」
「妹様?」
「……それが、姉が選んだ道だからです。
その選択は尊重されるべき、だと私は考えます」
「そうですか……」
「……マリィさんは」
「はい?」
「戻って欲しいから、そんな風に聞くんですよね?」
「……」
マリィさんは首元から下げた十字架を握った。
まるで、真摯に答えることを神に断りをいれているようだった。
「もちろんですわ」
「それは何故です?」
「そちらのほうが神に、教会にとっても、
私達教会の人間にとっても、
お姉様にとっても一番いいことですから」
「……」
私は一瞬言葉を失ったが、なんとか言葉を絞り出した。
「どうして……何を根拠にしてそう思われるのですか?」




