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感謝を
「なら、エレナ姉さんが住んでる場所はわかるんですね?」
「まぁ、おおよそは」
「おおよそ?」
私が聞き返すとリオ姉さんは引き出しから便箋を取り出した。
そこにはエレナ姉さんを宛先にした住所が記されていた、が……
「郵便局、ですか?」
「そう。
どうにも、山奥に住んでるらしく、明確な住所はないそうよ。
だから、郵便局留めにして、定期的に回収に行くって形みたい」
「そうなんですか……」
とは言え、大体の所在はわかった。
「ありがとうございます」
リオ姉さんに手紙を返した。
「それで、聞きたかったことはこれで全部?」
「ええと……」
少し考えた。
まさか、アル兄さんの失踪に関わっていないかと聞けるはずもない。
私は笑顔で頷いた。
「そうですね。助かりました」
「そう?大したことはしていないと思うけど」
リオ姉さんは立ち上がった。
「じゃあ、指導に戻るわ。
ゆっくりしたければ、そのままいたらいい」
リオ姉さんのカップはいつの間にか空になっていた。
「いえ、私もついていきます」
私もカップの中をすぐに空にした。




