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通告
「医者によると全治は3ヶ月だった。
でも、わたしは1ヶ月で治せる確信はあったし、回復魔法をかけながらだったら旅を続けることは可能だった。
でも……アル兄さんはそれを許さなかった」
「!」
「今ならわかる。
自信を喪失していたのに、油断していたわたしのメンタルはボロボロだった。
そんな人間が命掛けの冒険なんて自殺行為でしかない。
アル兄さんの判断はどこまでも正しかった。
静養を名目に聖教会に戻るように言われた。
……もっとも、当時のわたしにとっては戦力外通告にしか思えなかったのだけど」
「では、アル兄さんとはそれっきり?」
「ええ、せめて成長した姿をアル兄さんに見せたかったのだけど……」
「他のきょうだい達とは?」
「ミカやエルとは時々会うわ」
「パーティで一緒だった……例えばエレナ姉さんとは会ってないんですか?」
ショウ兄さんとは以前会ったのだから、エレナ姉さんの所在を知りたかった。
「直接会ってはいないわ。手紙のやり取りくらいね」
「そうですか……手紙、か」
手紙なら、住所……エレナ姉さんの所在がわかるかも知れない。




