強者の驕り
リオ姉さんは首を横に振った。
「わからない……というか知らないと言った方が正確ね。
わたしは……アル兄さんとのパーティから途中離脱したから」
「えっ……どうして……なんですか?
自信を失った……からですか?」
「それもあるけど、主な原因は負傷離脱ね」
「負傷……リオ姉さんが?」
「油断……慢心していたんだと思う」
「?自信を失っていたのに、慢心、ですか?」
「そう、自分はパーティの中で落ちこぼれだと思っていた。
でも、それでも、全体の中では上澄みで、並の相手やモンスターには負けないと思っていた。
それが慢心だったとは気づかずに……」
「……!」
「きょうだい達以外にも達人はいるし、
巨大な力を持つモンスターもいた。
火吹き竜と戦った時、わたしは負けるはずがないと思っていた。
事実負けなかった。けど、竜が尻尾を振り回した時、目測を見誤って、無防備な横腹に直撃を受けたの。
アル兄さん達が言っていたんだけど、火吹き竜はあえて、射程距離を短く見せて、相手を見誤らせる"技術"を持っていたって……
他のきょうだいは気づいていたけど、わたしは気づいていなかったの」
まるで、自分のことを言われているような気がした。
私も同じような認識を持っていた。




