持つ者と持たざる者の意識
「『聖なる盾』……それが、リオ姉さんの……」
「そうね、遅ればせながらも、一応他のみんなのように異名を手に入れたわ。
クリスが知らなかったように、そんなに有名ではないと思うけど」
「あ、いえ……」
それでも、異名は異名、称号は称号だ。
……"私が持っていない"異名だ。
そんな、私の心境を見透かしたのか、リオ姉さんが微笑みかけた。
「心配しなくても、クリスもいずれ"何かの名"で呼ばれる時が来る。
クリスが進んだ道に合ったモノが、ね」
「そう……なんでしょうか?」
「貴女もわたし達のきょうだいよ。
末っ子だから、世間に出るのが一番遅かったから何もないだけで、いずれ順番がくるわ。
そう言う意味でも、わたしは落ちこぼれたんだけど」
「そんな……」
リオ姉さんの自虐はわかるが、そこにも届いていない以上、
現状の私の立場がない。
私が微妙な顔をしていると、リオ姉さんはふふ、と笑った。
「それで、聞きたいのはそれだけ?
他にもあるならまとめて言って欲しいのだけど」
「そう……ですね」
元々は社会見学ということでリオ姉さんの様子を見て、色々探りたかったところではあったのだけど、
この機会だし単刀直入に聞いてみよう。
「その……アル兄さんの行方は知っていますか?」




