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超人の挫折
「リオ姉さんが"なれない"って……
どうしてですか?」
「……」
リオ姉さんは口を閉じて、カップの中の紅茶を揺らしながら眺めていた。
そして、ため息を吐くようにして口を開いた。
「人間、誰しも限界というものがあるのよ」
「っ……!」
何も成し遂げていない私にとって、他のきょうだい達は雲の上のような存在だった。
だけど、そんな存在であるリオ姉さんの口からそんな言葉は聞きたくなかった。
「……何が……何がきっかけでそう感じたんですか?
何か理由があるはずですよね?」
「それは……」
「アル兄さんのパーティメンバーだったリオ姉さんが、そんな挫折みたいなことを……!」
「……」
その時、リオ姉さんの空気が変わった。
すっと、能面のような表情になり、私は何がタブーに踏み込んでしまったのだと気づいた。
「挫折……挫折ね。
そう言う意味では、アル兄さんとのパーティは挫折の連続だったわ」
「え……?」
「常に、あんな完璧人間が隣にいるもの。
他のメンバーは、アル兄さんがパフォーマンスを発揮出来るようにするためのサポートでしかなかったのよ」




