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単刀直入
再び学長室に戻ると、マリィさんが手慣れた様子でお茶を淹れ始めた。
「あの……いいんですか?お茶まで飲むとなると10分では戻れないのでは?」
「ああ……あれは騎士見習い達の手前そう言ったまでだから」
「そうですか……」
そうやり取りした中で、マリィさんがす……っとお茶のカップを私達とリオ姉さんの前に置いた。
そして、ティーポットから、それぞれのカップへと紅茶が注がれた。
「ありがとう」
「ありがとうございます」
「あ、ありがとうございます……」
マリィさんは微笑むと、下がるように私達から離れた。
「それで、質問とは?」
そう聞くと、リオ姉さんは紅茶に口をつけた。
私は、注がれた紅茶を見て、意を決して聞いた。
「リオ姉さんは、どうして『聖騎士』を目指したんですか?」
「うん?どうして?」
「正確には、お母さんの『聖女』を継ごうとせず、どうして、近しいとは言え、別の道に進んだんですか?」
「……そうか。そうだね……」
リオ姉さんは窓の方を見た。
遠い目をしていた。
「わたしは『聖女』にはなれない。そう感じたから、かな」




