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姉
「あ、えっと……」
「失礼しました。難しく顔をされていたので、どうされたのかな?と思いまして」
私は頭をフル回転させた。
この人を相手に下手に嘘をつくと見透かされるような気がする。
なら、嘘ではなく知られてはマズいところを隠して、率直な疑問としてぶつけてみるべきだと考えた。
「……そうですね。リオ姉さんはどうして、『聖騎士』の道に進んだのか、気になりまして」
「ああ……そうですね。"お姉様"は元々、私達シスターと同じ道を目指されていましたから」
「……お姉様?」
私の姉だから、あえてそう呼んだ……とは思えないニュアンスだった。
そもそも、マリィさんはリオ姉さんのことを一貫して……
「……今は学長ですね。元々は私達シスターの"お姉様"でしたが」
「は、はぁ……」
母やリオ姉さんが関わりがあるとはいえ、聖教会については詳しく勉強はしていなかった。
だから、マリィさんの言葉の意味が、"そういう文化"なのか判断がつかなかった。
でも、答えを聞くのが恐ろしく感じて、詳しく追求することは出来なかった。




