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印象
そして、最上階の一番奥、仰々しい扉に学園長室と書かれたプレートがあった。
「聖教会って言う割には……」
ぽつりと呟いてしまって、すぐに口をつぐんだ。
権威を押し出していないか、と思ったことをつい口にしてしまったのだ。
「ふふ……お気持ちはわかりますが、対外的にも"ハッタリ"は重要ですので」
マリィ氏……さんは私を見透かしたようにそうフォローした。
「あ……そうですか……」
気まずく感じた私をよそにマリィさんは扉をノックした。
「学長、私です。妹さんをお連れしました」
返事を待つーー間にシンシアさんがマリィさんに聞こえないよう手のひらでガードしながら小声で話しかけてきた。
「(あの……大丈夫でしょうか?)」
「(え……?)」
「(なんだか、クリスさん、雰囲気に飲まれてませんか?)」
「(う……そうかも知れません。
…………いえ、大丈夫です)」
なんとなく、マリィさんに苦手意識をもったままでいるのは確かだ。
でも、用があるのはリオ姉さんだ。
マリィさんへの苦手意識は関係ない。




