通行許可
「それの何に問題が?」
さも、当然かのように述べるマリィ氏に門番は頭を抱えた。
それこそ当然の反応だろう、部外者である私でもとんでもないことをしていると察せる。
「あら、不必要な心配までなさるのね、ゴーシュ=ノイターさん?」
そう呼ばれた門番はさらに困惑を重ねた。
「あ、あの、俺、いや、私のことを、ご存知なのですか?」
「今更何をおっしゃるのです?私はマリィ=ベルです。
この街のことは何でも知っていますよ」
「うっ……あ……」
門番……もとい、ノイターさんは青ざめ、口をパクパクとしていた。
それにしても、このマリィ=ベルという人は何者なのだろう?
リオ姉さんと関わりのある聖教会の人間だということはわかるが……
「あなたの職務としては、この許可証が本物であることが重要であって、その許可証の出どころまで気にする必要はありません。そうでしょう?」
「そ、その通り……です」
「では、彼女達が通行することに問題はありませんね?」
「は、はい……ご自由にお通り下さい……」
そう言われ、私達の馬車は門を通過した。
私が直接何かした訳ではないけど、とても申し訳ない気持ちになった。




