お見通し
「エル兄さん、私は……」
言い淀む私を見て、エル兄さんは見透かすように言った。
「”狼”騒動なら、オレが治めたぞ」
「え……?」
ふと、周囲を見渡すと、様子を伺っていた”狼”達がいなくなっていた。
「あ……あの子は!?」
そこで、セーラー服の少女のことを思い出した。
彼女がいた場所を見ると、力尽きたように前のめりに倒れている少女の姿があった。
「この子は……」
エル兄さんは斧を盾に戻して背負い直し、少女の元へと歩みよった。
「エル兄さん、その子は”狼”達に狙われていた……」
「言わずともわかる」
「え?」
エル兄さんは担ぐように少女を右肩に乗せた。
「まだ息はある。治療を施せば助かるだろう。どこか、腰を落ち着けれる場所はないか?」
エル兄さんはどうやら、拠点を持たずにそのまま活動開始したようだ。
「そ、それなら、私がとってる宿があります。そこには特殊な回復方法が出来る仲間もいます」
「ほう?」
エル兄さんは空いてる左腕で私を抱えあげた。
「え、エル兄さん!?」
「場所を教えろ、色々問いただしたいことはあったが回復が先だ……お前も、な」
「ひ、一人で歩けます!」
「ふん、とうに限界にきているクセに強がるな」
「う……」
「お前にとってはきょうだい達で一番長い付き合いだろ。
オレに嘘をつけると思ってるのか?」
「は、はい……」
私はエル兄さんに従うほか、なかった。




