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彼女のいない馬車 25
「っっ!」
それに気づいたチヒロは息をのんだ。
それでも、攻め続ければ、ミスやすでに曲がっているガンカトラスの刃に不具合が出て崩れるかも知らない。
そんな思考になると、その隙を打つように男の蹴りが飛んだ。
「くっ!」
チヒロは咄嗟に攻撃の手を止め、そのまま両手でガードすることで、蹴りを受け、のけぞるように後方へ吹っ飛んだ。
チヒロは倒れはしなかったが、倒れないよう吹っ飛んだ先で地面に踏ん張るので精一杯だった。
「……もういいです……いや、"もういい"」
「!?」
男は両手でジャグリングしていた四本の刃を右手だけで高速に回しだした。
「今のあなたじゃ、どうあっても勝てないよ。
もう終わりにしよう」
「な、何を!」
チヒロは激昂した。
しかし、次の瞬間両肩と両膝にガンカトラスの刃が刺さっていた。
「!?!!!!?!!!??」
いつの間にか男は片手ジャグリングをしていない。
投げた?いつ……?
チヒロがそう思った瞬間、男は新たな刃を手にチヒロの目の前に現れていた。




