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彼女がいない馬車 6
「う、うーん……実際に出来てるとは言え、にわかには信じられませんわ」
「まぁ、仕組みなんて理解しなくても、大凡の人間には問題ないんだよ。
なんで動くのか分からずに車に乗って、なんで飛ぶのかわからずに飛行機に乗ってたでしょ…………飛行機は人によるか」
「確かに、そうですわね。
携帯電話、特にスマホなんか仕組みも分からず使ってましたわ」
「……」
チヒロは首を傾げた。
「どうしましたの?」
「いや、わからないから」
「え?」
「その……スマホ?とか言うの、知らない」
「えっっ!!」
口をあんぐりと開けるシンシアを尻目に、チヒロはバツが悪そうに頭を掻いた。
「携帯電話くらいはギリ知ってるけど……多分、世代が違うんだよね」
「えっ、あっ……え??」
「多分、ワタシがこっちに来る前より結構未来からシンシアちゃんは来たんだと思う」
「えっと……つまり、チヒロさんは私……アタシが"向こう"にいた時より、ずっと昔に"こっち"に来たってコト?」




