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彼女がいない馬車 4
「あ、はい。じゃあ、お願いします」
…………
話題がないのなら作れば、どうか、とチヒロは思った。
チヒロはそれに、料理という手段を取った。
「どうかな?ありもので"近づけて"みたんだけど」
出された鍋には肉と根菜類が、黒みがかった汁で煮られていた。
「これは……肉じゃが、ですか?」
「うん、こっちではなかなか食べられないでしょ?」
「醤油やみりんもなしに……どうやったんですか?」
「その辺はありもので代用したんだよ」
「そうなんですか?」
シンシアはひとまず、皿に取り分けた分に口をつけた。
「……え?これ、肉じゃがじゃないですか!」
「え、うん、そうだって言ったと思うけど」
「いや、代用品で作ったんですよね!?
味付けに違和感がないですよ!」
「まぁ、そりゃあ、違和感ないように作ったしね」
「ーーーー」
シンシアは頭を抱えた。
「……カレー作った時から、思ってたんですけど、
チヒロさんって、どういう頭?いや舌?してるんですか?」
「え、どういうこと?」




