騒がしい朝食を
「……場所はわかる?」
「正確なことはちょっと……」
「方角は?」
「だいたいやったら……」
「わかった。すぐ向かーー」
いや、さっきの懸念……確認くらいはしておきたい。
「ーーいや、一応、セレナに確認してみて。
準備が出来たら出発するから」
「う、うん、わかったで」
蝶を残して、部屋を出た。
食卓に向かうと、クリシュナが食事をとっていた。
「クリシュナ!……王……子?」
なんて、呼ぶべきか迷った。
「おはよう、クリス。疲れは取れたかい?」
「休養は充分です。
それより、あの後どうしたんです?
ヒッチコックは……」
「あ……ああ、実はヒッチコックにはいつのまにか逃げられたんだ」
「やっぱり……!」
「まぁ、でも、彼女を捕まえたところで、どう裁くべきか判断がつかない。
弟のこともそうだ。
全ての黒幕が父上だったのなら、関わった人間を裁くのはどうかと思う。
逆に無罪放免という訳にもいかないのだけど」
「そう、ですか……」
「いや、そもそも、王が独断で決めてしまうというのがよくないのかも知れない。
……これまで、この国は王族を裁くことは出来なかった、どんな罪を犯しても、だ。
だから、平気で血を分けた親兄弟で殺しあったのかも知れない。
そんなことになるくらいなら……父のことは裁判にかけようと思っている」




