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それどころじゃ
私は手早く服を着ようとした。
元の私の服だ。
いつのまにか洗濯が終わって部屋に置かれていた。
雑に拾い上げると、蝶がころころと転がった。
酷い話だと思うが、いたということを忘れるくらい気にしてなかった。
言い訳をさせてもらうと、ここ数日で考えることが多かったせいで気にかけている暇はなかった。
「大丈夫?」
「……あ、クリスはん」
暇だという辛さはあったかも知れないが、魔法によって温度調整された快適な室内にいたのだ。
活動に必要なエネルギーは足りているはずだし、私の服に潜んでいたのなら、見つかって変な目にあう心配もないと思えた。
「どうしたの、ぼーっとして」
「あ、いや……」
歯切れが悪い。
「留守中に何かあった?」
「あったかと言えば、あった。"向こう"で」
「え!?な、何があったの!?」
「いや、それが……セレナはんからやと詳しいことがわからんのや。
ただ、周りが騒がしくて、大変なことがあったってことはわかるんやけど」




