1005/1085
代替わりの時
「ぐ……ほっ……!」
同時に『エアスト』はヤンカム王の腹部、鳩尾の辺りを捉えていた。
図らずも、その痛みに悶絶したヤンカム王は膝から崩れ落ちて倒れた。
拳銃も転がっていった。
意識があろうとこれで自殺に走ることは出来ないだろう。
それでも、私はその拳銃を拾い上げ、
所謂、リボルバー式のシリンダー部分を力任せに引きちぎって壊した。
「王のまま死ねば、自分は王のまま……あなたの考えは一貫していましたが、理解出来ません。
死んでしまったら、それでお仕舞いじゃないですか」
私はヤンカム王の傍に行き、様子を確認した。
痛みで悶絶しているが、命に別状はないだろう。
念の為、窒息しないように仰向けに寝かせると、今度はクリシュナの元へ向かった。
クリシュナは青い顔をしていたが、それは精神的なものだ。
私はクリシュナの肩を叩いた。
「……終わりましたよ。
もっとも、貴方にとってはこれが始まりですが」
「……ああ、そう……だね」
「私に手伝えるのはここまでです。
後は貴方が頑張る番です」
それは決別の言葉だった。




