1002/1085
命より重いモノ
「王のまま、死ぬために……?」
私は大きく頷いた。
「この人の、王への執着を見ればわかりますよね?
自分の子供の命よりも優先したように、自身の命よりも優先すべきものだったんですよ。
この人にとっては」
「……」
ヤンカム王は顔を僅かに傾け、俯きがちになった。
影で目元が隠れて、表情が読めない。
「自分の命すら……何故、そこまで王であることにこだわって……」
「……くふっ」
ヤンカム王は吹き出した。
そして、そのまま、天を見上げて顔を押さえた。
「くは、はは、くははははっ!ふはっ、ふひひひふは!
ひひひひっ!きひひひひひっ!」
そして、狂ったように笑い出した。
「ち、父上!」
「ひははははっ!……ふざけるなっ!
たかが、王だと!?玉座のために命を捨てることがおかしなことだと言うのか!?
キサマがっ!王子たるキサマがっ!」
そう言いながら、ヤンカム王は手に当てていた手を横に振り抜いた。
「なっ……!?」
「笑わせるな!我が王家はな!
この玉座に座るために、血の繋がった親兄弟を殺して殺して、殺し合って!
生き残った者が、座り続けてきたんだっ!」




