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王の執着
ヤンカム王がわざとらしく、ん〜〜?と唸った。
「なんだ、キサマは?
先程までと、言ってることが違うのではないか?」
「……勘違いしないでください。
貴方が酷い為政者であるという意識は、王子と一致してます」
「ハハ、ならばクリシュナに任せておけばよかろう」
そう言うヤンカム王を見て、私はこのヤンカムという人物をある程度理解できた。
「そうですか……わかりますか、王子?
この人は死ぬことなんて恐れていないんです」
「……!」
「……ハン、何を言う?朕は王たる器を見せたに過ぎんよ」
「それを、自分で言うのは滑稽ですよ」
ヤンカム王は私を睨んだ。
それに構わず、続けた。
「いえ、厳密には多少なりとも恐れはあると思います。
しかし、それ以上に恐れていることがあるから、命さえ投げ捨てることがあるんです」
「黙れ!朕が恐れるものなど、あるものか!」
無視をして、クリシュナを真っ直ぐ見た。
「それは、"王でなくなること"です。
だから、驚くことに"王のまま"死のうと挑発してるんです」




